長崎県は、異国情緒漂う街並みや美しい離島景観、温暖な気候、歴史と文化が融合した独自の魅力を持つ地域です。近年は、コロナ禍を契機としたリモートワークの普及やライフスタイルの見直しにより、地方移住が注目を集めています。とりわけ、UターンやIターンを希望する人々にとって「空き家バンク」は、移住・定住の第一歩として重要な制度です。長崎県では、空き家の活用と地域再生を目的に、県内各自治体が積極的に取り組んでいます。
空き家バンクとは
空き家バンクとは、空き家の所有者が物件情報を自治体に登録し、購入や賃貸を希望する移住者がその情報を閲覧・相談できる制度です。自治体が仲介役となることで、利用者は安心して物件を探すことができます。
長崎県の空き家事情

全国比較と県内統計
2023年の住宅・土地統計調査によると、日本全体の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%でした。その中で長崎県の空き家数は約11.3万戸、住宅総数は約65.5万戸、空き家率は17.3%と、全国平均を大きく上回っています。これは、全国の空き家のおよそ1.3%を長崎県が占めることを意味します。
腐朽・破損率の高さ
長崎県では腐朽・破損が見られる空き家の割合も高く、約30%と全国でも上位に位置します。温暖で湿度の高い気候、台風などの自然災害が多い地域性がその一因と考えられます。
地域特有の傾向
- 離島や半島部の人口減少による空き家の増加
- 観光地での古民家再生やリノベーション物件の人気
- 湿気・台風対策が必要な家屋管理の難しさ
長崎県内の主要な空き家バンク

長崎市
県庁所在地の長崎市では、2022年時点で500件超の物件が空き家バンクに登録されていました。空き家の利活用を支援する「リフォーム費用補助制度(最大100万円)」も設けられており、移住検討者にとって利用しやすい環境が整備されています。
佐世保市
「させぼ暮らし」空き家バンクでは、公式サイトと窓口の両方で情報提供が行われており、物件の見学から契約までの流れが明確です。市街地や海辺の物件など、ライフスタイルに応じた選択肢が充実しています。
諫早市
諫早市の空き家バンクでは、5DK~8Kの広々とした間取りの物件が400万円台から掲載されています。市街地から車でアクセス可能なエリアに多く、ファミリー層に人気です。
南島原市
南島原市では、空き家情報を移住希望者に優先的に案内する仕組みを導入。公式サイトでは、物件見学の際に事前調整が必要なことが明記されており、移住者支援に力を入れています。
雲仙市・対馬市・波佐見町
雲仙市では、短期滞在が可能な「お試し住宅」制度を展開しており、実際の生活を体験しながら移住を検討できます。対馬市や波佐見町でも空き家バンクを通じた物件情報提供が行われており、地域の個性を生かした取り組みが見られます。
長崎県内のその他の空き家バンク
市区町村 | 空き家バンク |
---|---|
長崎市 | ながさき人になろう(長崎市移住定住サポートHP) |
佐世保市 | させぼ暮らし |
島原市 | 島原市定住・移住サイト 島原暮らし ~コイするしまばら~ ShimabaLove |
諫早市 | 諫早市空き家バンク |
平戸市 | 平戸市空き家バンク |
松浦市 | 松浦市空き家バンク |
対馬市 | 対馬市しまぐらしガイド |
壱岐市 | いきしまぐらし |
五島市 | 五島市空き家バンク |
西海市 | 西海市空き家・空き地情報バンク |
雲仙市 | 空き家等情報登録制度(空き家バンク制度) |
南島原市 | 南島原市空き家(空き地)バンク |
川棚町 | 川棚町空き家バンク |
波佐見町 | 波佐見町空き家バンク |
小値賀町 | 小値賀町空き家バンク |
新上五島町 | 新上五島町 交流プラザ |
空き家バンク利用のメリット
- 多様な選択肢と価格帯
都市部から離島部まで、物件の立地や価格帯の幅が広く、400万円台からの購入も可能です。 - 自治体支援が豊富
多くの自治体で、リフォーム補助金や引っ越し費用補助など、移住支援とセットで利用できます。 - 安心の行政サポート
物件の登録や契約までを自治体が仲介するため、初めての移住者でも安心して進められます。 - 地域とのつながりが生まれやすい
移住者コミュニティや地域行事への参加を通じて、生活に根ざした人間関係を築きやすい環境です。 - 長崎県ならではの利点
歴史ある街並みや港町、自然の恵みを感じながら生活できる点は、長崎ならではの魅力です。
利用時の注意点
- 建物の状態に注意
長崎県では腐朽・破損率が高めであるため、築年数や修繕履歴の確認は必須です。 - 湿気・台風対策
沿岸部・離島では特に、耐風・耐湿仕様の確認が求められます。 - 生活インフラやアクセス
離島や山間部では、交通・医療・買い物環境なども事前にチェックしましょう。 - 地域文化への理解
独自の信仰や伝統行事も多いため、地域コミュニティへの適応力が重要です。
移住支援制度との連携

長崎県の移住支援制度
長崎県では、県全体で移住相談窓口を設けており、空き家の活用や住宅リフォームに対する補助制度も整備されています。

各自治体の主な支援例
- 長崎市:リフォーム補助(最大100万円)
- 佐世保市:内覧・契約まで行政のサポートあり
- 雲仙市:「お試し住宅」で移住体験可能
- 南島原市:移住希望者を対象に物件案内を優先
成功のポイント
- まずは「お試し」で暮らす
実際の地域の雰囲気を知るには、短期滞在が最適です。 - 自治体支援を最大限活用
リフォームや引っ越しなど、補助制度を事前に把握しておくと経済的負担が減ります。 - リモートワーク環境を確認
インターネット回線の有無や通信速度も重要なチェックポイントです。 - 二拠点生活の検討
都市と地方の生活を両立するスタイルも、近年人気が高まっています。 - 地域との関係構築
地域活動や行事に参加し、信頼関係を築くことで移住後の生活がより豊かになります。
まとめ
長崎県の空き家バンクは、空き家の有効活用と移住支援が融合した非常に実用的な制度です。登録物件の多さ、リフォーム補助制度の充実、短期滞在で地域を体験できる「お試し住宅」など、他県にはない魅力が詰まっています。腐朽率の高さなど注意すべき点もありますが、対策を講じれば快適な住環境を得ることができます。
人生の新しいステージとして、長崎での暮らしを考えてみませんか?空き家バンクを活用し、自分らしい暮らしの実現に向けて一歩踏み出してみましょう。
※掲載内容は2025年6月時点の情報をもとに構成しています。最新情報は各自治体の公式サイトをご確認ください。