徳島県は四国の東端に位置し、豊かな自然と伝統文化が息づく地域です。吉野川の清流、鳴門の渦潮、そして阿波踊りなど、訪れる人の心を惹きつける魅力にあふれています。
近年、都市部から地方への移住トレンドが加速する中で、徳島県もUIターン希望者の受け入れに積極的です。特に注目されているのが「空き家バンク」の活用。住まい探しと地域とのつながりを同時に叶えるこの制度は、移住・定住を考える方にとって有力な選択肢となっています。
空き家バンクとは
空き家バンクとは、自治体が空き家所有者から情報提供を受け、空き家を購入・賃貸希望者に紹介するマッチング制度です。自治体が仲介役となることで、安心して物件を探せる体制が整っています。掲載情報の公開や現地見学のサポート、相談窓口の設置などが主な特徴です。
徳島県の空き家事情
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査(2023年)」によると、徳島県の住宅総数は約389,400戸、そのうち空き家は82,700戸で、空き家率は**21.2%**と全国ワーストタイとなっています。これは全国平均(13.8%)を大きく上回る数字であり、およそ5戸に1戸が空き家という現実を示しています。
また、「その他の空き家(賃貸・売却などの利用予定がないもの)」も38,500戸に達し、2018年から増加傾向にあります。背景には人口減少や高齢化、都市部への人口流出があり、地方自治体にとって大きな課題となっています。
気候面では、徳島県は台風の通り道にあたることが多く、雨風への備えや建物の耐久性が求められます。一方で自然資源に恵まれており、農業・林業・漁業、観光業などが盛んで、自然と共生するライフスタイルには最適な環境です。
徳島県内の主要な空き家バンク

徳島市
県庁所在地である徳島市は、人口約24万人を擁し、交通・医療・教育などの都市機能が充実しています。徳島市の空き家バンクでは、ウェブで物件情報を公開し、リフォーム補助制度や不動産事業者との連携サポートも整っています。UIターン希望者向けに見学ツアーや相談会も開催されています。
鳴門市
観光都市として知られる鳴門市では、**空き家率22.9%**と非常に高く、別荘や古民家タイプの空き家が多いのが特徴です。市では、古民家利活用の促進に取り組んでおり、カフェや宿泊施設への転用を支援する補助制度を展開しています。地域住民との協働による改修事例も多く、起業志向の移住者にとって好環境です。
小松島市
港町である小松島市も、**空き家率19.9%**と高水準です。漁港のあるエリアでは、海辺の古民家が多数空き家バンクに登録されており、移住者によるリノベーション事例も進行中。地域の漁業体験や商店街との交流支援も魅力の一つです。
このほか、神山町ではIT企業の誘致や移住者による地域活性が進んでおり、古民家を再生してワーケーション施設にするなどの動きも活発です。
徳島県内のその他の空き家バンク
市区町村 | 空き家バンク |
---|---|
全域 | 「とくしま回帰」空き家情報バンク |
鳴門市 | 鳴門市空き家バンク |
小松島市 | 小松島市空き家バンク |
阿波市 | 阿波市空き家情報登録制度 |
美馬市 | 美馬市空き家バンク |
三好市 | 三好市空き家バンク |
那賀町 | 那賀町空き家バンク |
牟岐町 | 牟岐町空き家バンク |
海陽町 | 海陽町空き家バンク |
つるぎ町 | つるぎ町空き家バンク |
空き家バンク利用のメリット

1. 初期費用を抑えられる
空き家バンクには100万円前後の物件も掲載されており、賃貸物件に比べて初期コストを大幅に抑えることができます。
2. リノベーションで理想の住まいに
リフォーム前提の物件も多く、補助金制度を活用すれば、自分好みの空間にカスタマイズできます。
3. 地域とのつながりが生まれる
自治体主催の見学会や移住フェアなどを通じて、住民や地元事業者との接点が持てます。
4. 行政による安心サポート
契約の相談、移住後の暮らしに関する支援など、自治体が丁寧にフォローアップしてくれます。
5. 徳島ならではの体験ができる
農業体験、漁業参加、阿波踊りなど、地域文化に深く触れながら暮らすことができます。徳島県独自の「家見守りサービス」やふるさと納税連携による管理サポートも魅力的です。
利用時の注意点

一般的な注意点
- 建物の老朽化:空き家の多くは築年数が長く、シロアリ被害や屋根・壁の損傷があることも。
- 改修費用:内外装の修繕や水回りの更新に300万円以上かかるケースもあります。
- 法的手続き:所有者不明や再建築不可物件もあるため、登記や用途制限の確認が必要です。
- 生活インフラ:水道・ガス・インターネットの整備状況をチェックしておくことが大切です。
徳島県特有の注意点
- 台風・豪雨リスク:地形的に災害の影響を受けやすいため、耐風・耐水性の確認は必須。
- 地域文化の尊重:地元行事や日常的なあいさつなど、地域との信頼関係が生活の基盤となります。
- 交通手段:バスや鉄道が限られる地域も多く、移動手段の確保(自家用車など)が求められます。
移住支援制度との連携

徳島県の取り組み
- 「とくしま回帰」住宅対策総合支援センター:移住者向け相談窓口として、物件紹介、家見守りサービス、移住準備サポートを実施。
各自治体の支援例
- 徳島市:リフォーム補助(最大50万円)、定住促進金(最大20万円)など。
- 鳴門市:古民家再生補助金、ITワーカー向けのテレワーク支援。
- 神山町:住居補助・起業支援・コワーキングスペースの提供など、地方創生モデルとして全国的にも注目。
移住成功のポイント
- 情報収集を徹底する
空き家バンク、移住支援センター、見学会、SNSなど、多角的に物件・地域情報を集めましょう。 - 現地に足を運ぶ
写真やウェブだけで判断せず、現地での見学・人との交流が定住成功のカギです。 - 補助金を活用する
移住支援金、引越し支援、リフォーム助成金などを上手に利用しましょう。 - リモートワークや二拠点生活を視野に入れる
徳島県内では通信環境が整っている地域もあり、都市と地方を行き来する新しい働き方も実現可能です。 - 地域に溶け込む意識を持つ
地元の風習やルールを理解し、積極的にコミュニケーションをとることで、安心して暮らせる環境が整います。
まとめ
空き家の増加という社会課題に向き合いながら、徳島県では移住者を歓迎する数々の制度とサポート体制を整えています。自然豊かな暮らしと都市部の利便性が共存する徳島で、空き家バンクを活用し、自分らしい住まいと生き方を見つけてみませんか。
理想の暮らしは、空き家バンクから始まるかもしれません。あなたの「次の一歩」を、徳島県で応援しています。