近年、「住むなら地方へ」という流れが加速しています。都市部の生活環境から離れ、自然・文化豊かな地方で暮らすことに魅力を感じる人が増えており、佐賀県もその注目地域の一つです。佐賀県は有明海や嬉野温泉など自然・観光・食文化の多様性に恵まれ、ゆったりとした暮らしを実現しやすい地域です。
そんな中、空き家バンクは移住・定住希望者にとって重要な入り口となっています。空き家を購入または賃借して、新たなコミュニティでの生活を始める。一方で、地域課題である空き家問題の解決にもつながるWin-Winの仕組みです。本記事では、佐賀県の空き家事情や具体的な活用方法など、実用的な情報を丁寧にお伝えします。
空き家バンクとは
空き家バンクとは、自治体が空き家所有者から物件情報を登録・収集し、それを移住・定住希望者に紹介する仕組みです。売買・賃貸両方で展開され、暮らし手と空き家のマッチングを支援します。物件の紹介に加え、リフォーム補助や見学会の案内など、相談体制が整っている点もポイントです。
佐賀県の空き家事情
2023年の住宅・土地統計調査によると、佐賀県の空き家数は53,300戸、空き家率は14.5％でした。2003年と比較すると空き家率は約2.3ポイント上昇、空き家戸数は約1.9倍に増加しています。全国平均の13.8％と比べてもやや高めです。
住宅総数は約367,100戸、空き家53,300戸に対し、空き家率は14.52％と計算上も正確です。
気候は温暖で積雪は少なく、農業（米・茶・果樹）や漁業など一次産業が主要産業です。一方、若者流出による人口減少と高齢化が進み、特に中山間地域では空き家が目立つようになってきました。
佐賀県内の主要な空き家バンク
県庁所在地：佐賀市
佐賀市では「さがし山ぐらし」プロジェクトにより、北部中山間地域（大和町松梅校区、富士町、三瀬エリア）での空き家活用を積極展開中です。見学に対応し、地域政策課が相談窓口となっています。
小城市
小城市では、「小城市空き家バンク制度」を実施し、市内の空き家を購入・賃借希望者へ情報提供しています。見学・契約までの流れが明確で、リフォーム補助（補助金制度）も設けられており、新規移住者へのサポートが充実しています。
鹿島市
鹿島市の空き家バンクでは、2025年5月時点で23件の登録物件があり、開始以来128件の成約実績があります。売買・賃貸とも物件が豊富にそろい、担当不動産業者による支援体制が整っています。
白石町・江北町
白石町や江北町でも、「空き家・空き地バンク制度」を用意し、所有者と利用希望者をつなぐ情報提供を行っています。各自治体の生活環境や地域コミュニティに馴染みやすい制度で、地域ごとに多彩な物件が確認できます。
佐賀県内のその他の空き家バンク
空き家バンク利用のメリット
- 低価格での住まい確保
中古住宅は新築に比べ安く、リノベーション次第で自分好みの住まいにできます。 - 自治体の補助制度が利用可能
佐賀市や小城市などでは改修費用の補助があり、初期投資の負担を軽減できます。 - 地域とのつながりが構築しやすい
空き家所有者や自治体担当者とのやりとりが、移住後の地域コミュニティとの接点に。 - 多様な物件が選べる
山間部から海沿い、中心市街地まで幅広い選択肢があるため、ライフスタイルに合わせやすい。
佐賀県特有のメリット：
温暖で自然豊かな気候、歴史と文化が色濃く残る地域。食材は新鮮で豊かです。県内移動も車で1〜2時間以内とコンパクトな範囲で生活圏が広がる点も魅力です。
利用時の注意点
- 古民家・空き家特有の維持コスト
構造チェック・耐震補強・湿気対策など事前調査が重要です。 - 地域文化・ルールへの理解が必要
祭りや自治会など、地域ごとの交流に参加する姿勢が求められます。 - 気候への配慮
山間部は冬季に霜・凍結があり、暖房設備や断熱対策が不可欠です。 - 交通インフラの確認
公共交通が中心部より少なめ。車が必須になるケースが多く、免許や住環境とのバランスを要検討。
移住支援制度との連携
佐賀県全体
佐賀県では移住希望者向けに、「移住体験ツアー」や「相談窓口」を設置。また、一定期間の家賃補助制度や定住奨励金、最大100万円の移住支援金などの制度も実施されています。
主要自治体での支援
- 佐賀市：「中山間地域定住促進補助金」制度あり。
- 小城市：「リフォーム補助金（過疎地域含む）」で改修費用を支援。
- 鹿島市：契約実績多数に基づくノウハウを提供、不動産業者との連携も強力。
これらと空き家バンクの利用を組み合わせることで、費用面・手続き面で有利な移住が可能になります。
成功のポイント
- 地域の実情を理解する：訪問・見学を重ねて、生活イメージと実態のギャップを埋める。
- リモートワーク拠点として活用：高速回線エリアを選べば都市との二拠点生活にも適しています。
- 住民との関わり：自治会や地域活動への参画が、信頼と暮らしやすさにつながります。
- 情報収集の継続：空き家バンクは随時更新されるため、こまめなチェックが吉。
- 補助制度・税制の利用：制度活用で資金的な負担を軽減し、移住を後押し。
まとめ
佐賀県の空き家バンクは、自然・文化・人とつながる新しい生活を実現する有力な手段です。県全体で14.5％の空き家率（53,300戸）と高めの水準にある今こそ、利用価値は高まっています。
自治体による補助やサポート、リモートワークとの親和性、そしてコミュニティとのつながりといったメリットは、移住・定住希望者にとって非常に魅力的です。事前調査と現地での交流を通じて、自分らしい“佐賀での暮らし”をぜひ見つけてください。
読者のみなさんが納得と喜びのある移住生活をスタートできるよう、心から応援しています！
※本記事記載のデータ・制度情報は2025年6月時点の公表情報に基づいております。最新情報は各自治体サイトでご確認ください。
