紀伊半島の南西部に位置する和歌山県は、温暖な気候と美しい自然環境に恵まれた魅力的な地域です。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」をはじめ、白浜温泉や熊野古道など豊富な観光資源を持ち、新鮮な海の幸と山の幸に恵まれた県として注目を集めています。近年、コロナ禍を機にテレワークの普及が進み、都市部から自然豊かな地方への移住を希望する方が増加している中で、和歌山県も移住先として高い人気を誇っています。
このような移住ブームの中で重要な役割を果たしているのが「空き家バンク」です。人口減少や高齢化の進行により増加している空き家を有効活用し、移住希望者と空き家所有者をマッチングする仕組みとして、全国各地で導入が進んでいます。和歌山県においても、県と各市町村が連携して空き家バンクシステムを運営し、移住・定住促進の重要なツールとして位置づけています。
空き家バンクとは
空き家バンクとは、空き家の売却や賃貸を希望する所有者から物件情報の提供を受け、移住・定住希望者などに情報を提供する仕組みです。自治体が運営主体となり、地域の不動産事業者と連携しながら、空き家の有効活用と移住促進を図る制度として全国的に広がっています。一般的な不動産流通とは異なり、移住支援制度との連携や地域コミュニティとの橋渡し機能も持ち合わせているのが特徴です。
和歌山県の空き家事情
和歌山県の空き家事情は深刻な状況にあります。総務省が2024年4月に発表した「令和5年住宅・土地統計調査」によると、和歌山県の空き家率は21.2%で、徳島県と並んで全国最高となっています。これは県内の総住宅数約49万6千戸のうち、約10万5千戸が空き家となっていることを意味します。
この高い空き家率の背景には、和歌山県特有の地理的・社会的要因があります。県内では高齢化と人口減少が進行しており、特に若年層の県外流出が空き家増加に拍車をかけています。山間部や沿岸部の過疎地域では、後継者不足により維持管理が困難になった住宅が増加している一方で、和歌山市などの都市部でも高齢化により空き家が発生しています。
また、和歌山県は南海トラフ地震の影響が懸念される地域でもあり、沿岸部の一部では防災面への不安も指摘されています。県や市町村では、空き家対策に積極的に取り組んでいます。
和歌山県内の主要な空き家バンク

わかやま空き家バンク(県営)
「わかやま空き家バンク」は和歌山県が設置し、管理運営を行っています。これは県全体をカバーする統合的なプラットフォームとして機能しており、移住推進と定住促進を目的として運営されています。2024年度には新規登録296件、累計登録数は1,391件となっており、制度開始から2024年度までの10年間で、空き家バンクの成約件数は累計586件(売買332件、賃貸借254件)となっています。
県営の空き家バンクの特徴は、移住支援制度との連携が充実していることです。東京23区在住者や東京圏から23区へ通勤していた方が和歌山県に移住した場合、世帯で最大100万円、単身で60万円の移住支援金が支給される制度や、空き家改修補助金制度などと組み合わせることで、移住者の経済的負担を軽減する仕組みが整っています。
わかやま住まいポータルサイト
2025年に更新された「わかやま住まいポータルサイト」は、移住・二地域居住希望者の住まい探しを支援するワンストップサービスとして機能しています。県内の空き家バンク物件情報と民間不動産会社の物件情報を一元的に検索できるシステムを提供しており、利用者の利便性向上を図っています。
和歌山市の取り組み
県庁所在地である和歌山市では、独自の空き家バンクシステムを運営しています。人口約35万人の中核市として、都市部特有の空き家問題に対応するため、きめ細かな支援制度を用意しています。特に、県外からの移住者が空き家バンク登録物件を購入して定住する場合、改修費用等の一部を補助する制度を設けています。
田辺市の特色ある取り組み
熊野古道の玄関口として知られる田辺市では、歴史・文化資源を活かした移住促進策を展開しています。世界遺産エリアという立地を活かし、古民家再生による移住促進や、農林業従事希望者への空き家紹介など、地域の特性を活かした取り組みを行っています。
白浜町のリゾート移住支援
温泉リゾート地として有名な白浜町では、リゾート移住や二拠点生活を希望する方向けの空き家バンクを運営しています。関西国際空港から直通バスでアクセス可能な立地を活かし、都市部との二拠点生活を希望する移住者に人気があります。
和歌山県のその他の空き家バンク
市区町村 | 空き家バンク |
---|---|
全域 | わかやま空き家バンク |
和歌山市 | わかやま空き家バンク |
海南市 | 海南市空き家バンク わかやま空き家バンク |
橋本市 | 橋本市空家バンク わかやま空き家バンク |
有田市 | わかやま空き家バンク |
御坊市 | わかやま空き家バンク |
田辺市 | わかやま空き家バンク |
新宮市 | わかやま空き家バンク |
紀の川市 | わかやま空き家バンク |
岩出市 | わかやま空き家バンク |
紀美野町 | わかやま空き家バンク |
かつらぎ町 | かつらぎ暮らし わかやま空き家バンク |
九度山町 | わかやま空き家バンク |
高野町 | わかやま空き家バンク 高野町空家登録制度 |
湯浅町 | 湯浅町空き家バンク わかやま空き家バンク |
広川町 | 広川町空き家情報登録台帳 わかやま空き家バンク |
有田川町 | わかやま空き家バンク |
美浜町 | わかやま空き家バンク |
日高町 | わかやま空き家バンク |
由良町 | わかやま空き家バンク |
印南町 | 和歌山県印南町空き家バンク わかやま空き家バンク |
みなべ町 | わかやま空き家バンク |
日高川町 | わかやま空き家バンク |
白浜町 | わかやま空き家バンク |
上富田町 | わかやま空き家バンク |
すさみ町 | わかやま空き家バンク |
那智勝浦町 | わかやま空き家バンク |
太地町 | わかやま空き家バンク |
串本町 | わかやま空き家バンク |
空き家バンク利用のメリット

低コストでの住宅取得
空き家バンクに登録されている物件は、一般的な不動産市場価格よりも安価に設定されているケースが多く、和歌山市内の空き家は平均200万円から300万円程度で取引されることが多いです。移住初期費用を大幅に抑えることができ、特に和歌山県では空き家率が高いため、購入希望者にとって選択肢が豊富で価格交渉の余地も大きいのが特徴です。
移住支援制度との連携
和歌山県の空き家バンクは移住支援制度と密接に連携しており、東京23区在住者や東京圏から23区へ通勤していた方が和歌山県に移住した場合、世帯で最大100万円、単身で60万円の移住支援金が支給されます。また、空き家改修費用への補助制度や、移住者向けの住宅ローン優遇制度なども利用可能です。
地域コミュニティとの接続
空き家バンクを通じた移住では、自治体職員や地域の不動産事業者が仲介役となるため、地域コミュニティとの円滑な接続が期待できます。移住後の生活に必要な情報提供や、地域行事への参加サポートなど、ソフト面でのサポートも充実しています。
和歌山県特有のメリット
和歌山県の空き家バンクでは、温暖な気候を活かした農業体験や、海・山・川の豊かな自然環境での生活を求める移住者に適した物件が多数登録されています。また、関西圏からのアクセスが良好で、都市部との二拠点生活も実現しやすい環境にあります。
利用時の注意点

建物の老朽化対策
和歌山県の空き家には築年数が古い物件が多く、耐震性や設備の老朽化に注意が必要です。特に昭和56年以前に建築された物件については、耐震診断や改修工事が必要になる場合があります。購入前には必ず建物の状態を詳しく調査し、改修費用を含めた総コストを算出することが重要です。
災害リスクの確認
和歌山県は南海トラフ地震の影響が想定される地域であり、津波や土砂災害のリスクも存在します。空き家バンク物件を検討する際は、ハザードマップで災害リスクを確認し、避難経路や避難場所についても事前に把握しておくことが必要です。
インフラ整備状況
山間部や離島部の空き家では、上下水道やガス、インターネット環境などのインフラ整備状況に注意が必要です。特にテレワークでの移住を検討している場合は、高速インターネット接続環境の確保が重要な課題となります。
気候・風土への適応
和歌山県は温暖な気候である一方、梅雨時期の湿度の高さや台風の影響を受けやすい地域でもあります。特に関東地方などから移住する場合は、気候の違いによる住環境への影響を考慮する必要があります。
移住支援制度との連携
和歌山県移住支援事業
和歌山県では、東京23区在住者または東京圏在住で東京23区への通勤者を対象とした移住支援金制度を実施しています。対象求人への就業やテレワーク等により県内に移住した場合、単身世帯60万円、世帯100万円の移住支援金が支給されます。この制度は県内30市町村で実施されており、空き家バンクと組み合わせることで移住コストを大幅に削減できます。
市町村独自の支援制度
和歌山市では、県外からの移住者が空き家バンク物件を購入して定住する場合の改修費補助制度や、三世代ファミリー助成金制度を設けています。また、田辺市では農林業就業希望者向けの住宅支援制度、白浜町ではリゾート移住者向けの特別制度など、各自治体が地域特性を活かした独自支援を展開しています。
就職・起業支援
「はたらコーデわかやま」を通じた就職マッチング支援や、地方創生推進室の専門人材事業との連携により、移住後の就業支援も充実しています。また、県内での起業を希望する移住者には起業支援金制度も用意されており、総合的な移住支援体制が整っています。
成功のポイント

事前の情報収集と現地視察
和歌山県での移住成功のポイントは、徹底した事前準備です。移住候補地の気候、文化、産業構造、交通アクセスなどを詳しく調査し、可能な限り現地を訪問して実際の生活環境を体験することが重要です。県が実施している移住体験ツアーや相談会を積極的に活用しましょう。
地域コミュニティとの関係構築
和歌山県の多くの地域では、地域コミュニティとの良好な関係が生活の質に大きく影響します。移住前から地域の文化や慣習について学び、積極的に地域活動に参加する姿勢を示すことで、スムーズな地域社会への統合が可能になります。
段階的移住の検討
いきなりの完全移住ではなく、二拠点生活から始めて段階的に移住を進める方法も効果的です。和歌山県は関西圏からのアクセスが良好なため、週末移住や月単位の滞在から始めて、地域への理解を深めながら移住を進めることができます。
最近のトレンドへの対応
コロナ禍以降、テレワークでの移住や、都市と地方を行き来するワーケーション的な働き方が注目されています。和歌山県でもこうした新しい働き方に対応したインフラ整備や支援制度の充実が進んでおり、従来の移住パターンにとらわれない柔軟な移住スタイルが可能になっています。
まとめ
和歌山県の空き家バンクは、全国最高水準の空き家率という課題を逆手に取り、移住希望者にとって豊富な選択肢と手厚い支援を提供する貴重な仕組みとなっています。県営の統合的なプラットフォームから各市町村の個性的な取り組みまで、多様な選択肢が用意されており、移住者のニーズに応じた柔軟な対応が可能です。
温暖な気候、豊かな自然環境、充実した移住支援制度、そして関西圏からの良好なアクセス性など、和歌山県は移住先として多くの魅力を持っています。空き家バンクを活用することで、これらの魅力を存分に享受しながら、経済的負担を抑えた理想的な移住生活を実現することができるでしょう。
移住は人生の大きな転機です。和歌山県の空き家バンクが提供する機会を活かし、あなたらしい新しい生活のスタートを切ってください。豊かな自然と温かい人々が待つ和歌山県で、充実した移住生活を始めましょう。